「真ん中にあるのはカルの瞳の色に近いローズクォーツと、僕の瞳に似ていると言ってくれたルビーだよ。いつでも君のもとへ行けるようにと願いをこめてルビーでローズクォーツをはさむようにしたんだ。今朝話をした――クリスタって言うんだけど、彼女の家が加工業をやっていてね。既製品のリングで良さそうなものを選んで宝石をはめこんでもらったんだよ」

 「急ぎのもので申し訳ないけれど、僕からの気持ちとして受け取ってもらえないかな?」と優しく言われて戸惑ってしまう。
 それと同時にカリーナさん――リィちゃんの言葉が思い浮かんで心が揺れた。
 申し訳なさと同じかそれ以上に嬉しい気持ちが胸に広がり、目尻に涙が浮かんでくる。
 温かく感じる視線へ緊張は残っていても嫌なものではなくて。
 私は両手で箱を包むように持った。

「――ありがとうございます。大切にしますね」

 嬉しくても涙は出るんだなと思いながら、精一杯感謝が伝わるように笑って。
 「こちらこそありがとう」と涙をハンカチで拭ってくれるシン様の口元は上がっていて、気持ちが伝わっていればいいなと思った。