「――外せと言ってるだろう……!」
シン様の荒げた声と共に月の飾りを強く引かれて首に痛みを感じた瞬間、ブツリと耳障りな音が響いた。
やがてペンダントトップを持った大きな手に力がこめられ、粉々になった破片が目の前でバラバラとこぼれ落ちていく。
「あ……っ」
シン様の変わりように言葉が出てこない。体が震え涙が次々とあふれてくる。
そんな私を見るシン様の表情には感情が見えなくて、赤い瞳だけが冷たい光を持っている。
「君は何故ここにきたんだい? 他の男に近づくのが目的なら不愉快だ……!」
吐き捨てるように言うとシン様はそのまま部屋を出て行ってしまった。
「なんで……?」
ソファーの上に散らばった破片をかき集めながら、いくら考えてもシン様の様子が変わった理由が分からない。
そんなに私のことが嫌いだったのかな……?
優しくしてくれたのもやっぱり王子としての役目だったんだ……。
早く家に帰らなきゃ。
ルーチェ様のことが解決したらその後すぐに。
集めた破片や壊れて落ちたチェーンとその一部を拾い上げ、私はそれをぎゅっと握りしめた。