未だに勉強よりも能力を鍛えさせればよかったと嘆かれるくらいでいつも曖昧に笑ってごまかしている。
「王子の身としては嬉しいよ。自分の住む国を好いてもらえているのだからね」
「この国に住む人はみんな好きだと私は思います……」
納める税は高い額ではないと言われているし、現金が難しいと作物などの物で代用できる。それも難しい場合は減額や免除も相談可能で、何かあった時の相談や補助も充実しているのだとお母さんが時々言っている。
王様をはじめ王族の方は優しいと慕っている人は私のまわりに多い。
だから私は好意的だと伝えたつもりだった。
けれどシン様は一瞬悲しそうに微笑んで。聞く間もなく穏やかな表情に戻ってしまい機会を失う。
「そうだといいな」
少しだけ震えたその言葉はシン様の願いのようにも聞こえて、そうですと返そうとしたらくしゃみが出てしまった。
こらえようとしたけど失敗に終わり、シン様が目を丸くしている。
すごく恥ずかしい……!
「すみません!」
「いや。こちらこそごめんね。お風呂あがりみたいなのに長話をしてしまって……。――乾かしてあげるからじっとしてて」
サラ、と髪をすくわれる感覚がしたかと思うと感じたほんのりとした温もり。
少しの時間でシン様の手が離れ、「もう乾いたよ」と言われたので髪の毛に触ってみた。
本当だ……。
肩につくほどの長さの髪は濡れていたのが嘘のようにあっという間に乾いていた。
「僕と父は水を操れるからね。――ほら」
シン様は髪に触れていた手を開く。すると手のひらには水の玉が浮かんでいた。
透明な水の玉を思わず見つめているとそれは瞬時に目の前から消えた。
「え……!」
私が声をあげると同時に聞こえた水の音。それは机のほうから聞こえて、そちらのほうを見るけれど離れているからよく分からない。
「机の上にある花瓶を見てごらん?」
シン様の言葉に促され、立ち上がって机の所へ歩いてみる。
花瓶に目をやると朝に水をあげたきりの花や葉が濡れていた。
「すごい……」
「驚いた? 浄化もできるから花に洗髪剤などの影響はないよ」

