頭を下げるメイさんに慌てて声をかける。
急に抱きつかれたり大声をあげられたのは驚いたけれど嫌だったわけではない。
むしろ慣れない場所にきて不安な私に明るく笑顔で話しかけてくれてすごく嬉しいから。
私は未だ頭を下げているメイさんの組まれた手に触れた。
「顔をあげて下さい。私はメイドという仕事がどんな仕事でどんな決まりがあるのか詳しいことは分かりませんが、メイさんが笑顔で明るく声をかけて下さることがすごく嬉しいです」
「だから元気な笑顔を見せて下さい」と笑えば、顔をあげたメイさんが目を潤ませていることに気づく。
朝のシン様にならって持っていたハンカチを差し出せば「一生お供しますー……!」と抱きつかれてしまったけれど。
今度は私もギュッと抱き返して少しの間笑い合った。
――それから案内は続き、近くを通りかかったメイドさんがお昼が近いことを知らせてくれたので私達は一度部屋へと戻り昼食をとって。
その後も時々休憩を入れつつゆっくり王宮内を回ったのだった。
***
太陽が月と交代するべく沈み出した頃、夕食をいただくために食堂を目指していた。
廊下の両端に続く置物と天井に等間隔にはめこまれた蓄力石が光を放ち、辺りを明るくしている。
メイさんの話によると王宮内の照明と火力の半分以上はお父さんが担当しているというから驚いた。
「こちらが食堂です」
これまた綺麗な装飾が施された扉をメイさんが笑顔で開けてくれる。取っ手にまで細かい模様があって驚く発見ばかりだなぁと思いながら食堂へと入った。
部屋の中は主に白で統一されていて清潔感にあふれていて。
真ん中に大きな長方形のテーブルがあり、メイさんに促されて椅子に座る。椅子は木製のようで全体的に温かみのある色合い、テーブルクロスはシミ一つなく真っ白。
部屋の様子に圧倒されていると、先に座っていた二人がこちらを見ていることに気づいた。
「あなたが四人目の希望者なんだ。リィはカリーナだよ! よろしくね?」
ふわふわした金色の髪を高い位置でツインテールに結び、丸い緑の瞳を持った女の子が声をかけてきた。
「あたしはティア。負けるつもりはないけどよろしく」
次いで燃えるような赤い髪に茶色の瞳を持ったもう一人が凜とした声でそう言ってくる。
「カルドーレ様とラナ様以外の試験を受けられる方々です」とメイさんに言われて私は慌てて頭を下げた。

