急に聞こえてきた咳払いにハッとして、顔を動かすとバツが悪そうなルニコ様がいて顔が熱くなる。
「結ばれたのはめでたいが私の前では控えてくれんか」
チラチラとこちらを見るルニコ様に今の光景がよみがえる。
ルニコ様が咳払いしなかったら私、シン様と――!
そう思ったら顔がカッと熱くなってうつむいた。
恥ずかしくてシン様の顔を見られない……!
「無粋な人ですね。そこは見守ってくれるのが筋でしょう」
いつもより声が低くなって機嫌の悪さがうかがえるシン様でも、ルニコ様のまったく気にしていないような笑い声が聞こえた。
「私以外にも無粋な者がいるようだが?」
「え……?」
シン様と私の声が重なったと思ったら謁見の間の扉が突然開かれた。
「カルちゃん!」
明るい大きな声で話しながら駆けてくる懐かしい姿に、私は嬉しくなってその場を駆け出す。
金色の髪をドレスと共にフワフワと揺らし、宝石に負けない綺麗な緑色の目。久しぶりに見たリィちゃんの姿に気持ちが高ぶってしまう。
「リィちゃん!」
「話は聞いたよ。リィも過去に行ってみたかったなぁー」
「楽しそう」と心底残念そうなリィちゃんに私は曖昧な反応をしてしまう。
色々大変なことがあって楽しいとは正直言えなくて。
けれど、シン様と思いが通じたのは過去にとんだおかげだと思うから後悔はしていない。
「兄さん、ボクにも色々話してよ!」
リィちゃんの後を追うように謁見の間に入ってきたルーチェ様が、ニヤニヤと悪戯な笑みでシン様の体を肘でつつく。
「僕らから話せることはないよ。――まさか父さん、王宮中に言って歩いたわけではないですよね?」
まとわりつくように話しかけるルーチェ様を少しうっとうしそうにしながら、シン様は鋭い視線をルニコ様に向ける。
ルニコ様は顎に手をあてニンマリと笑みを浮かべて。
「それは二人が確かめてみるといい」
と、嫌な予感のする返答をしたのだった。

