「カルが王宮どころかセルペンテ国内でも見つからなくてどうなることかと思ったよ……」
「ご心配をおかけしてすみませんでした」
「姿を見つけた時は本当に安心したよ。まさか強制労働の場所で草刈りをさせられているとは思わなかったけどね」
困ったように笑うシン様に私は驚いた。
あの白蛇は本当にシン様の分身だったの……?
「あんな隙間だらけの小屋で休むのを見て直ぐにでも駆けつけてあげたかった」
シン様の手がサラリと私の髪に触れる。
シン様の口振りから白い蛇は分身で間違いはなさそう。
「あの、ジーア国王様と会った部屋にいた蛇もシン様が……?」
「うん、そうだよ。ジーア国にいる蛇に協力してもらったんだ。分身の蛇を介してなら蛇と意思の疎通ができるからね。本当は分身に出口までカルを連れて行かせたかったんだけど、力を使いすぎたのか途中で消えてしまってごめんね……」
眉を下げて悲しげな表情のシン様に私は首を横に振った。
「白い蛇に会えた時シン様が側にいてくれているようでそれだけで嬉しかったです。だからそんな悲しい顔をしないで下さい」
「ありがとう……」
笑みを浮かべ合っていると咳払いが聞こえ、ルニコ様の前だったことにハッと気づく。
「もっ、申し訳ございません……!」
頬を熱くしながら頭を下げる私の耳にはクツクツと笑うルニコ様の声が聞こえて余計に恥ずかしくなる。
「顔をあげよ。私は怒ってなどおらん。むしろ未来が楽しみでしかたないわ」
「え……?」
首を傾げる私にルニコ様は目もとを和らげ笑う。
その眼差しはシン様が私に向けてくれるものと似ているような気がして、少しくすぐったい気持ちになる。
「このように、国や人を思う息子と義娘に会えるのだからな」
「ルニコ様……わっ、シン様っ?」
ルニコ様の言葉にジーンとすると横にいるシン様に手を引かれ、腕の中に閉じこめられて顔がカァッとまた熱くなる。
「よく言いますね。――カル。気をつけたほうがいいよ。彼は国と民を思うよき王かもしれない。でも、国と大勢の民を守るためなら僕達を利用するような人だからね」
「そうなんですか……?」
思わず私がルニコ様をじっと見ると、渋い顔をした後に意地悪そうな笑みを浮かべたので私は思わず固まってしまう。
ルニコ様はその笑みのままシン様に視線を向けた。

