天使の名を持つ少女

「キャアァァッ!」

「ウワアァァッ!」


アールのいないシュペイツの村は脆く、次々とその数を減らしていった。


「ヒャハハハハッ!たまんねぇぜ!どいつもこいつも弱ぇんだよ!」


漠賊の頭、シェイトは、逃げ回る村人たちに容赦無く太陽光レールガンを撃っていった。
常にエネルギーが供給される弾切れを知らないレールガンを持つシェイトは、誰彼構わず連射した。


「やめろぉ!」

「あ?」


シェイトの脚にカイがしがみついた。


「邪魔だ、クソガキ!」


脚を振って、カイの背中が地面に激突した。


「うわぁっ!」


「カイ!」


テントに隠れていたソラが飛び出し、カイのもとに駆け寄ろうとした。


ガシッ!


「きゃあっ!」


ソラの小さな体は、シェイトに簡単に引っ張り上げられた。


「まだガキが二匹もいたとはな…。」


「ちょっと!離してよ!」


ジタバタしたがなんの抵抗にもならなかった。すると右腕が服からはみ出て、ダブルクロスが露出した。


「!?このガキ…アクア・ラミエルだと!?」


「だったら何よ!あんたたちには水は一滴もあげないんだから!」

ソラの言葉でアクア・ラミエルだと確信したシェイトは、ニタァと表情を一変させた。


「ヒャハハハハッ!出す出さないかなんて選択権はお前には無いんだよ!じっくり…じっくりいたぶって、ただの蛇口にしてやるよ!」