「ねえ、ゲームしない?」
そう言って優は微笑んだ。
突然だ、ほんとに、突然。
各部屋でくつろいでいたであろう俺達を呼び出した優は突然そんなことを言ったのだ。
俺は、優の突然の発言に戸惑いながらも、自分の考えたゲームを楽しそうに説明する自分の兄を見ていた。
昔からゲーム好きな兄だったとは思う。
自分でオリジナルのゲームを考えて、それを俺達に説明して、やろうやろうと言ってくる。
お母さんに「優の言うことはちゃんと聞くんだよ?」なんて小さい頃言われていたからか、俺が中学三年生ぐらいの時までは優のオリジナルゲームにみんな付き合っていた。
優の考えるゲームは面白い。
何でこんなことを思い付くんだろう、といつも関心させられる。
だけど、それに自分は関わらなくていい。
俺は見てるのが好きなんだ。
好きなことを除いた全ては傍観者でいたい。
優がオリジナルゲームを提案してから一番最初に反応したのは意外にも秋斗。
俺の弟だ。
めんどくさがりな秋斗がゲームに乗るのかと傍観していると、まさかの否定的なセリフ。
優のオリジナルゲームをきっぱり断り、秋斗は階段を上っていった。
悲しそうに、つまんなそうに、階段のほうを見つめる優を見て同情心も芽生えたけど……
そんなことより、ゲームがしたかった。
最近買ったんだ。
アイドルの女の子を育成させるゲーム。
俺はアニメオタクだ。
二次元大好き。
だから、
「ゲームしたいんだけど」
優のゲームに参加しようという気が全然起きなかった。
早くゲームがしたい。
葵ちゃんのレベルをあげないといけない。
俺は優の横をスッと通りすぎ、まっすぐ部屋へ向かった。

