みんなして何でそんな生チョコばっか送ってくんの?
途中で飽きそうだな…。
それにしても、バレンタインはまだまだだっていうのにみんなすごいね。
これで十個か…。
こんなもんかな。
「…あ、優くん!これ!」
む、また来た。
女の子に紙袋を渡される。
………まさかね?
「ねえ、あのさあ」
「はひ!?」
何でそんな驚いてるのこの子は。
「まさか、中身って生チョコ?」
まさかね。そんなまさかね。まさかまさか。
「う、うん」
そんな!!こんなことって!!!!
「ある人から聞いたの。生チョコが食べたいんだって。だから生チョコ作ってきたんだけど、嫌だったかなあ?」
誰!?そんなこと言いふらしたの!?
「いや…うん、食べたかったから。あ、ありがとう」
「よかったあ。じゃ、またね」
………わかった。昨日チョコを作ってくると言ってたあの子だ!
何が食べたいと聞かれたから、生チョコって言ったんだっけ。
いやいやだからって女の子に言いふらさなくても!!
二月二日。
この日僕は計十二個のチョコをもらった。
それにしても困ったな。
こんないっぱいの生チョコは、さすがに食べたことない。
でも、せっかく女の子達が作ってくれたんだし…ご飯前だけど今食べてしまおう。
がさがさと袋を開ける。
一人目のチョコを食べようとチョコを手に持ったとき、僕は気がついた。
そういえば……このチョコ、どこにも名前書いてなくない?
「……………ああああ!!」
今思い出した!!!!
ルールを決めたのは自分なのにすっかり忘れていた。
名前の書かれたチョコじゃないとそのチョコは一個としてみなされないということに。
うわーー何で気づかなかったんだよ、僕。
他の十一個のチョコを確認すると
「…二つ名前が書いてない…」
つまり、今日、僕は女の子からチョコを十二個もらったわけなのだが。
名前が書いてあるものが九個しかないため、今日もらったチョコの数は九個ということになる。
何で一回一回確認しなかったんだろう…。
ま、今更言っても仕方ないか…。
今度からちゃんと確認しよう。
「兄貴」
!?!?
突然後ろから聞こえた声に僕は一瞬心臓が止まった。
「あ、ごめん」
光だ。
「いや、いいけど。どうしたの?」
「いや…あのさ、俺、今月の勝負棄権したい…」
?棄権?
「何で?」
「だって俺、チョコなんてもらえねーし。どうせ最下位だと思うからさ…」
何でこの子はこんなネガティブ思考になってるんだろ?
「大丈夫だよ、僕の弟はみんなイケメンだから!」
「それ、兄貴には言われたくないんだけど」
なにそのムッとした顔。可愛い!
「………今、可愛いとか思ったでしょ」
「何で分かったの光くん?」
「顔に出てたから」
なんてことざましょ。

