《優side》



朝。


「優くん、おはよう」


クラスの女の子が挨拶してきた。

たしか…由紀ちゃん、だっけ?


「おはよう」

僕がニコッと笑うと彼女は頬を染めた。


「きょ、今日はいつもより機嫌良さそうだね?」


なんて単純。


ちょっと微笑んだぐらいで赤くなった顔。



「わかる?」

彼女に問うと、彼女は「うん」と頷いた。



「ずっとやりたかったゲームがあったんだけどね、それがやっとできるようになったんだ」


僕の言葉を聞いた彼女は「へー、どんなゲーム?」と僕に聞く。

ゲームはもう、始まってる。




「んー秘密」


少し可愛い子ぶると彼女は更に顔を赤くし、俯いた。


バレバレだよ。君の気持ちなんて。


これなら、すぐに落ちるだろうな。






二日前。


両親が世界旅行に旅立ち、兄弟で色々話し合える場を作った僕。



本当は「これから両親がいない間どうするか」という問題よりも、自分の考えたゲームをみんなでやりたい、という気持ちからだった。


僕がゲームの提案をして一番最初に肯定してくれたのは千絋。

楽しそうじゃない?みんなやろうよ。

と千絋はみんなに声をかける。


すると


「……まあ、俺も色々と欲しいものはあるしなー。ぶっちゃけ料理もそんな得意じゃないし…」

光がぼそっと呟いた。


「秦は?」

この調子だ、と思いつつ秦に声をかける。


「…優に勝てるわけなんかないだろ。最下位になれば一ヶ月はずっと料理担当…」


秦ってそんな料理苦手だったのか。

でも、


「逆にいえばさ、一位になって命令すればゲーム機だって買ってもらえるし家事もしなくてすむんだよ?当番制よりかは良くない?」


僕の言葉に秦は黙りこんだ。