《優side》




「はーい君たち集まったねー。今から君たちに話さなければならないことがあります。よーく聞いてくださーい。特に秦くん。とりあえずそのイヤホンをはずそうかー?」


僕は両耳をイヤホンで塞ぎ、リズムゲームに夢中になっている秦に声をかけた。

「…………」


もちろん返事はない。


うん、聞こえてないよねーこれ。


「秦くーん、一回お兄ちゃんの話を聞こうかー」


秦の背後に回り込み、イヤホンをはずすと

「!?ちょっ!」

思いっきり睨まれた。


あはは、どうしよう、めっちゃこわ。



「で?一体何の用だよ」


寝ていたところを無理矢理起こしたからか、秋斗も機嫌が悪そうだ。


これは早く話したほうがいいな。


「また、こないだ言ってたゲームの話じゃねーよな。なら俺部屋戻るけど」


「いやいや違うよ」


あのゲームについてはまだ諦めてないんだけどね。

今回は別の話。



「また新しいのを思いついたとか?」

光の言葉に僕は思わず苦笑い。


そんなゲーム星人じゃないよ、僕。



そう思いながら否定の言葉を探していると千絋と目があった。

僕がこれから言おうとしてる話を知っている千絋はニコニコ笑って僕を見ていた。



あまり時間をとるのもみんなに悪いな。


よし。

言ってしまおう。




「みんな聞いて。重大なニュースです」




僕の言葉に四人の弟がいっせいにこちらを見た。




「本日より、両親が世界旅行に出掛けました」






「「「………は?」」」


千絋以外の弟の声が聞こえる。

しかも見事に揃っている。



これは当たり前の反応だろう。



突然両親が世界旅行に行ってしまったと告げられたのだから。


さて、みんなはこれを聞いてどうかな?