秋斗が優の提案を拒否してリビングを出ていく。
俺は優をフォローして、秋斗を追いかけた。
「いやだっつの」
少しだけ秋斗を説得してみたが、秋斗は意志を曲げてはくれない。
めんどくさいこと、嫌いだもんね、知ってるよ。
でもね、これからもっとめんどくさいことが起こるんだよ?
俺は秋斗の説得を諦め、優の部屋へ向かった。
そこに優はいなかった。
どこか遊びに行ったのかな。
仕方ない、自分の部屋に戻ろう。
そう考えているとケータイが鳴った。
「もしもし?」
電話の相手は母親だった。
「もしもし?千絋今家?」
「そうだよ、何で?」
「優にあの件について電話したんだけど出ないの」
「あーどっか行ったみたい」
ほんと、どこ行ったんだろ。
五分ぐらい前までは家にいたような…バイトかな?
「じゃあいいや、優に言っといて。予定よりも一日早く出発することになったから、って」
「わかった」
じゃ、よろしくね、といい母親は電話を切った。
電話してきたってことは今日も帰らないのかー。
一日、早く出発ね…
てことは、明後日かあ。
……みんなは知らないんだよね。
明後日から両親がいなくなること。
それならいいじゃないか。
みんなで優の提案したゲームをしようよ?
これから色々大変になるんだもん。
みんなで楽しく暮らそうよ?