「はぁ?なにそれ、めんどくさ」
久しぶりに聞いた弟の声がまさかこんなものだとは思わなかった。
「そんなめんどくさそーなの俺はやらない」
「まあまあ、人生楽しんでいこうよ!」
「あんたの提案に乗ったところで俺の人生が楽しく過ごせるとは到底思えない」
ばっと僕の手を振り払い、リビングを出て階段を上がっていく僕の弟。
僕はふう、とため息をついた。
兄弟なのに何でこんなに冷めた関係なんだか。
「ま、秋斗はめんどくさがりだしね。こうなることは優も分かってたんじゃないの?」
「んーまあ。でもそんなつまんないかな?僕の提案」
「そんなことないよ。俺は楽しそうだと思う。むしろやりたいぐらい」
そう言って弟の後を追うようにまたリビングを出ていく僕の弟。
兄弟で同じ空間にいるのがそんなに嫌かね?
「ね、秦はどう?僕達だから出来るゲームだと思わない?」
先程リビングから出ていった二人の弟とはまた別の弟。
ケータイ画面に夢中になっている弟に僕は問いかけた。
「俺は興味ない。てゆーか部屋戻っていい?ゲームの続きしたいんだけど」
「ああ…どうぞ」
僕達ほんとに兄弟なのかな。
チラッと横目でもう一人の弟を見ると
「俺も行くわ!」
僕の最後のホープもリビングを出ていってしまった。
僕、岡本優は高校三年生。
岡本家の長男である。
僕の下には弟が四人いる。
「……はあ、みんなノリ悪いな。面白いと思ったのにー」
僕はがっくしと肩を落としてみんなと同じように自分の部屋へ戻った。
みんな冷たいよなー。ちょっとゲームしようって提案しただけなのに。
「………暇だな」
バイトもないし、どこか出掛けようか…。
それともこのまま家でグダグダ過ごそうか。
そう思っていたらケータイが鳴った。
女の子からの着信だった。
それから五分後僕は家を出た。

