「ねぇ、架歩」 優しい声色で、呼ばれた。 「ど、どうしたの?」 自分の中に、緊張が走る。 顔が近づいてくる。 目を強く瞑った。 「架歩のは、ないの?」 「……、え?」 耳元でそう囁かれ、拓斗の顔を見る。 「今日、バレンタインだよ? 架歩からはないの?」 …びっくりした、あんなに貰ったのに?