神器それは、その名の通り神の器。これは、神の器として生まれた少女の物語である。

昔、昔、神という、世界のことわりを決め、人々を見守る存在がいました。神と人は一緒に住んでいました。しかし、人は、神を封じ込めてしまいました。神は、人を許しませんでした。そして、地上と天と分け、神は、人を抗えなくしました。それからというもの神は、人とは口を聞かず、ただ人を良き方向へ導いたり、監視をつけたりして、人を見守ってきました。

「幸せや不幸を決めるのは自分次第だと神は、思った。神は、人に恨まれることもあるけれど、人を見守り続けました。」

「ねぇ。今は?」

「クレア。今は、神信仰が増えてるけれど、神をよく思わない者もいるわ。だけど、クレアは、神を信じていれば、きっと、神が目の前に現れるわ。おやすみ、私のかわいい子」

「おやすみ。ママ」

その話を聞いたのは、私が5歳の時だった。お母さんは、あまり自分のことを言わない。6年がたち、私、クレア・ラスタは11歳になった。

「お母さん、おはよう。」

「おはよう。クレア。」

「お父さんは?」

「今日の朝から遺跡を見に行ったわ。」

「ふーん。」

私のお父さん、ガイス・ラスタは考古学者で神がいたとされる遺跡にいくつか見回っている。

「お母さん、私も遺跡に行くね。」

「えぇ。だけど、お父さんの邪魔しちゃダメよ。」

「わかってる。」

お母さん、レティア・ラスタはお父さんとは遺跡の中であったと言うけどどこにあったのかまだ探し中。お父さんもお母さんも答えてはくれない。だから、探して見ることにした。遺跡は、誰でも入っても良くなっているが、ほとんどが、考古学者やその家族だったりする。

「おぉ。クレア。来たのか。」

「うん。お父さんとお母さんのあった場所が気になるからね。ホイトンさんこんにちは」

「こんにちは。クレアちゃん。」

お父さんの助手のホイトン・バレインさん。私の小さい時からいる。

「あまり遠くに行くなよ。」

「わかってる。」

この遺跡は、音楽の神ミューズが祀られていたとされる遺跡。私は、何回も来ているのに、わからないことだらけで今日も収穫なし。家に帰るとお母さんがお昼を用意してくれていた。食べ終わり、部屋に行き、遺跡の本を読み返した。それが学校が休みの時の日課だった。16になり、日課は、変わらなかった。変わったとすれば、弟のハルトが生まれ、今は4歳になった。

「お姉ちゃんいってらっしゃい。」

「行ってきます。ハルト。お母さん。」

「気をつけるのよ。」

「はーい。」

12の頃よりは、行き先も広くなった。お父さんは、この町にある遺跡以外の遺跡をいくことになり、家を空けることが多くなった。私は、ミューズの遺跡を調べ今日は、祈りの場であったところを見つけたのでそこに行くことにした。

「すごい。お父さん、見つけてないよね。まだ新しいし。」

私は、祈りの場で祈ってみた。すると、周りが光出し、私を覆い始めた。

「何?」

「クレア。クレア。」

どこからか声が聞こえてきた。そして、目の前に綺麗な女性が現れた。

「誰?」

「私は音楽の神ミューズ。ずっとあなたのことをこの遺跡から見ていました。」

私は信じられずにいた。しかし、ミューズの話は続き、なぜか信じるようになっていた。ミューズに圧倒されたからだとあとで思った。そして、私が神の器、神器であることも初めて知った。ミューズは、私の中に入って、共に他の神を私の中に集め、ゼウス復活と世界を地上天国にする契約をした。最終は、私は神としてこの世界を担うことも説明してくれた。迷ったが、ミューズが一緒にいてくれると言ってくれたので、なんとかやることにした。私は、契約が終わると光は消えた。

「はぁ。終わった……」

私は気が抜けたように倒れた。気を失ってから、まる2日たった。

「クレア!」

「お母さん?私……」

「遺跡で倒れていたのよ。」

「そうだ!遺跡で……」

「ミューズにあったのね。」

「お母さん?どうしてそれを?」

「待ってなさい。」

私は、お母さんを待った。

(クレア。聞こえる?)

「ミューズ?夢じゃなかったのね。良かった。」

(変わりなさい。レティアと話があるわ。)

「そんなのできるの?」

(任せなさい)

私は、ミューズの言うとおりにした。お母さんが謎の箱を持ってきた。

「ミューズね。」

「ええ。久しぶりね。レティア」

「地上に降りて何年なるかしら。まぁいいわ。それより、ミューズやはり、クレアが……」

「ええ。神の器、神器よ。」

「運命は決まってたってことね。」

「ええ。あなたが、地上に降りてからね。その箱は、クレアが持ってなくてはいけないわね。」

「そうよ。あの子はまだ力を制御できないから。」

私は、心の中から聞いていた。お母さんが天族だということも……

「クレア。変わるわ。」

(うん)

私とミューズは入れ替わり、お母さんと話しをする事になった。