「あちゃ~・・・」 「だから言っただろ!・・ごめんね。大丈夫?」 由香にぶつかったその人は、 和に文句を言ったその人は、由香に謝ったその人は・・・。 確かに昨日の電話の、春の声だった。 確かに一瞬見せた笑顔は・・・昨日見せた電車の人のものだった。 あの人は、春だったんだ。 “どうぞ”たった一言だったけど、確かに聞き覚えがある声だと思ってた。 私は、春に逢いたがってたんだ。