「その・・・春って人はどんな人だったの?」

充洋は言った。

“春”・・・。その愛しい響きに動揺する私。
思わず、視線を落とす。

そんなこと、言えないよ。
そんなこと言ったらあなたは私を嫌うでしょう?

「バカだなぁ・・俺が頼んでんだ。言ったって嫌いになったりなんかしない。
ただ・・・今だって、明にとってのそいつはでかいんだろ?」

もう忘れたの。
忘れたのに、なんでだろう?泣きそうだよ。

「だから、俺はそいつを超えてみせる。
そいつより、大きい存在になるんだ。
だから・・・どんな人だったか教えてくれないか?」

充洋は優しい。
私が思ってることをすぐに見抜くし、それに気を使って接してくれる。
この人になら、春のことを話そうと思った。

でも・・・