そんなこんなでお話をしていますと、平屋の大きな校舎が見えてきました。
おんなじ制服の若者がぞろぞろとその校舎に入っていきます。
「…………」
ユリはすこうしだけ、ショウタロウと距離を離します。
「……どうしたんだい?ユリ」
ショウタロウが不思議そうにユリの方を向く、と。
「だって……」
ユリはあたりをキョロキョロしております。
何やら、気の強そうな子からそうでない女の子迄、ショウタロウのことを見て何やらこそこそと話しております。
「……僕の容姿はそんなに可笑しいのか…?」
ショウタロウは不思議そうな顔をして周りを見渡しています。
なんせ、ショウタロウはこの街で有名で、とても淡麗な容姿であるので、こしょこしょとお話をされることは珍しくありませんのです。
その鋭くも何かを引き付けるような目、透き通る様な手先の白さ、細くも強健な体つきはこの頃、未熟な乙女達の心を引くのであります。
「……あれ、ユリ」
ショウタロウがふと、目を離したすきにユリは姿を消していました。
辺りをきょろきょろと不思議そうな顔をして見回すショウタロウはどこか幼げでもあります。
ユリは一体どこへ行ってしまったのでしょう……