「ううっ、寒いな〜。」

正史の声が頭の上でした。
紺のコートを着た正史が、私の顔を覗いた。

「あれ?白猫?」

私は、嬉しくて顔を上げた。
正史、正史、私よ、
凛。

「なんだよ〜、ミャウミャウ鳴いて。
どうしたんだよ。」

違う、違うの、凛なの〜。
私は、正史の脚にすり寄った。

「随分、人懐こいな。」

正史がマンションの玄関を開けたとき、
スッと中に入った。

そして、正史にピッタリとくっついて、
歩いた。

「おい、おい、何だよ〜。腹でも減ってるのか。」

正史〜って言うと、ミャウ〜って鳴いてる私がいる。

並んで歩いて、正史の部屋のドアの所で止まった。

「あれ?なんだ、これは?」

正史が紙袋を持ち上げた。

「ハッピーバースデー、正史のバカ。」
ハハッと、正史が笑った。

何よ‼
私は、寒い所で待ってたのよ‼
正史のバカ‼

「凛の奴、プレゼントを置きに来てくれたのか〜。あぁ〜、悪かったな〜。電話しないと。」