始業式から俺は和尋といるようになった。


このクラスになって1ヶ月くらい経った頃には、誰とでもしゃべる和尋の影響で男子とも女子ともかなり仲良くなり、毎日が楽しかった。


でもやっぱり小谷さんがいないのって…大きいんだよな。


そう思いつつ過ごしていた俺は、自分の人生を少し…いやかなり変えてしまうような出来事の幕開けとなる出会いをした。


その出会いは…俺の平凡な暗い人生をまぶしいくらい明るくしてくれるものだった…。


その出会いの日、俺は1人で本屋を目指しながら歩いていた。


5月の風はまだ涼しくて心地いい。


今日の目当ては今日発売の少年漫画。


受験生ながらも参考書ではなく漫画を買いに行くあたりが、いかにもまだ受験生としての自覚がないのがわかる。


まだ行きたいと心から思える大学もなければ、学びたいと思う学部もない。