「俺は気づかない間に小谷さんに『安心』っていう、成功に必要な『自信』につながるきっかけを与えただけだ。成功は小谷さん…小谷さん自身がつかんだんだよ?」


自信をもってほしい。


ただそれだけだった。


「うん…!ありがと…本当にありがと!」


小谷さんの目から流れ落ちた涙はとてもきれいだった。


そのきれいなしずくを拭き取りながら、小谷さんは言った。


「唯斗…あたしね、その日からずっと唯斗を忘れたことなんてなかった。」


小谷さん…。


「高校に入って唯斗を見た時、びっくりした…。2年で同じクラスになった時はもう…うれしくてうれしくて…。」


ずっと立ったまま話していた俺たち。


小谷さんは20cmほど高い俺の目を見た。


「ずっと…ずっと…唯斗を見てたよ?」


目にまた涙を溜めながら上目遣いで言う小谷さん。


ドキドキ…


上目遣いだからか、胸の鼓動がいつもより速い。


「ずっと…好きだった…!唯斗のことが…ずっと…。」


俺は…無意識に涙を流していた…。