「唯兄…見られてるよ?」


俺の隣でそう言うのは、神坂弥生[カミサカヤヨイ]。


俺がいつも一緒に学校へ行くのはこいつだ。


弥生は隣の家に住む高1…つまり雪哉と同い年。


弥生は雪哉が好きだったりする。


雪哉と一緒に行けばいいのに、雪哉のファンが怖いとかで行っていない。


「俺じゃないだろ。」


「唯兄だってば!コンタクトだとやっぱり雪哉と似てるからね~。」


思い出した。


そういえば小谷さんに無理やり外された時、空気ががらりと変わったっけ。


眼鏡1つでみんなの反応が変わるってすごいな…。


まぁ所詮顔しか見てないってことだけど。


「あの…!お名前はなんて言うんですか?」


何年生なのだろう。


少しおとなしめの子が目の前に来て聞いてきた。


それを聞いてぞろぞろと女子が俺と弥生を囲んでいく。


「水島…唯斗だけど。」


俺がそう言うと、「え?水島ってもしかして…」とかいう声が聞こえる。


「おはよ、弥生!もしかして…水島くんの…」


弥生の友達らしき子が言う。


「水島くんのお兄ちゃんだよ?」


「「え~!?」」


女子が…うるさい。