「唯斗…ちょっと来て。」


放課後、用事もなくまっすぐ家に帰ろうと立ち上がった時、小谷さんに声をかけられた。


いつもは『来て』なんかじゃなく『来い』なのに…。


なんとなく元気もない気がする。


何かあったか…?


「あぁ…。」


俺はかばんを持って小谷さんについていった。


着いたのは時々しか使われていない教室。


小谷さんがイスに座ったので、俺も隣に座った。


「今から筆談だから。」


小谷さんはそれだけ言って、紙に何かを書き始めた。


…は?


…筆談?


俺は意味がわからなかった。


何のために誰もいないところ来たんだよ!?


そんなことを思っていると、目の前に紙とシャーペンが置かれた。


仕方ない。


…筆談に付き合いますか…。


書かれていた内容は…驚きだった。


『雪哉くんに告られた。』


「えぇ!?」


俺は思わず声にだしてしまった。


コンコン━


小谷さんが少し顔を赤らめながら怒った感じの顔をして、爪で紙をつついた。


そして口に人差し指を当て、「シーっ」とした。


黙れってことですか。


『ごめん』


俺はそれだけを書いた。