「兄貴~、意外と俺しゃべれた!小谷先輩と!」


家に帰るなり、雪哉が満面の笑みを浮かべて俺の部屋に来た。


「よかったな♪俺から見てもいい感じだったぞ?」


ネクタイをとりながら、ベッドに座っている雪哉に言った。


「兄貴のおかげだって!ありがとな!」


作戦を考えたのも全部雪哉だ。


俺はなんもしてねぇんだけどなぁ。


「雪哉はさ、小谷さんに告んないの?」


俺がそう言うと、雪哉は顔を真っ赤にした。


世の中のモテる男には『かっこいい』って言われるのと『かわいい』って言われる奴がいる。


雪哉は『かっこいい』方だ。


でも今の雪哉は『かわいい』くて、少し笑ってしまう。


「こ…告!?ま…まだしねぇって!無理無理!」


ほっ…。


「…え!?」


俺…なんでほっとしてんの!?


頭の中が混乱する。


「どうしたんだよ…!?…兄貴?」


突然の俺の驚いた声にびっくりしたようだ。


「…いや…なんでもない。」


兄貴なら弟の幸せを願うべきだろ!?


弟を励ましたり背中を押してやんのが兄貴だろ!?


しっかりしろよ…俺…。