俺は固まった。


見たことない小谷さんに…。


「いい…?」


いつものキャラではない小谷さんが聞いてくる。


俺は…うなずいた。


いや、うなずくことしかできなかった…。


「やった♪」


俺はすぐに小谷さんとは反対にある窓の方に向いた。


青く広がる空を眺めながら…


『あたしが唯斗って呼びたいの…!』


そう言う小谷さんの顔と声が頭の中でリピートされる。


そのたびに顔が熱くなった。


どうしたんだよ…俺は…。


嫌いな奴の意外な一面…かわいいところを見て、びっくりしたんだよな?


調子くるっただけだよな?


うん。そうだ。


きっとそうだ。


自分に何度も言い聞かせた。


…高2にもなって恋というものを知らなかった俺は、これが何なのかわからなかった…。


もちろん…恋が甘くて切ないということも…何もかも…。


そんな俺が恋だと気づくには少し時間がかかった…。