一郎丸は、外を見た。

小さなヒノキがそこにはあった。

その木には、人間の魂が合わさっていた。

ある種の地縛霊みたいだった。

もちろん、キセキの野郎は見えていた。


だが、なにも言わなかった。




そこにはただの人間の家族があった。


その女が、厄介なのに、キセキは、人になりすましていた。