もう人気者には恋をしない

「私……バカみたい。あの時決めたはずなのに。また同じことしてっ……あぁ……また勘違いしちゃった……」

「……須藤さんちょっと待って。それ、どういうこと?」


 と先輩が私の腕を掴む。


「っ、放してくださいっ!」


 私は、たまらず思いっきり振りほどいた。

 先輩が、一瞬傷ついた顔をしたのはわかったけど、今は自分のことでいっぱいいっぱいだった。

 これ以上、私に触れてほしくなかった。

 これ以上、勘違いをしたくない。


「先輩はっ、私をただの後輩にしか見てなかったでしょうけど……私は……先輩のこと……ただの先輩として見たことは……一度もないですっ」


 先輩を押しのけて走りだした。


「須藤さんっ、待って!」


 私……ホント、バカみたい。


 また同じ失恋をした……


 始まりかけた恋は、


 あっけなく終わった……