もう人気者には恋をしない

「ねぇねぇ後藤先輩。私達の名前、覚えてくれましたかぁ?」


 名前……先輩、覚えるのが苦手みたいだけど、ファン達の名前は覚えてるのかな。


「……え?君達の名前か。えーと……うーん……」


 ……先輩、すごい考え込んでる。

 これはちょっと怪しいかも……


「……あ、思い出した!

 江川さん、川本さん、本田さんだ!」


 何とか答えた。どうかな?


「ブブー!違いますぅ!

 相楽、熊田、山本ですよー」


 あ……全然違う。


「うわぁ、ハズレちゃったかぁ!結構自信あったのになぁ」

 先輩は「やっちまったなぁー」と残念そうにして、手のひらでおでこをポンと叩いた。

 自信があったワリには大ハズレですけど……

 それでもファン達は楽しそう。そんな後藤先輩を知ってて、遊んでるだけなのかもしれない。

 ホント。相葉君の言うとおり、後藤先輩の名前覚えの悪さは本物だった。

 そんなんなのに……何で私の名前は間違えないんだろう……

 え……私だけ、特別?……とか。

 ……なんてね。まさか。それはいくらなんでもありえない。あんなに人気のある人が、会ったばかりの私にそんな……

 私ってば、自意識過剰すぎだよ。