もう人気者には恋をしない

 美術室から出て廊下を歩いていると、前に見覚えのある後ろ姿が。

 ……あ。

 あれって……後藤先輩だよね。

 一人で歩いてる。

 これは……話せるチャンス?

 そういえば、声をかけるのはいつも後藤先輩からだけど……私からも声を掛けていいのかな?

 ドキドキしながら、迷いながら……
 先輩にどんどん近づいている。

 そして、背後に着いて……私は一呼吸した。

 
「あのっ、後藤先輩……」


 声をかけると足がピタリと止まり、振り返られた。

 後藤先輩は目が合うなり、表情をパッと笑顔に変えた。


「おー、須藤さん!今、部活帰り?」

「はい……先輩もですか?」

「うん。練習はお休みなんだけど、文化祭の打ち合わせをしてたんだ」

「そうなんですか」


 うわぁ……久しぶりに近くで見たら、先輩の爽やかさが眩しい。