もう人気者には恋をしない

*

「へぇ。映見、モデルサッカー部の相葉君にしたんだ」

「うん。同じクラスの男子だし、気兼ねしなくていいかなって」


 今日もスケッチをしに行くため、果奈とスケッチブックを抱えて、それぞれのモデルの元へと向かっていた。

 昨日は、あんまり絵に手がつかなかった。

 相葉君よりも……なんでか、後藤先輩の方ばっかり目がいっちゃって。

 今日こそは、ちゃんと相葉君を描こう。


「映見……もしかして、相葉君のこと好きなの?」

「え!?なんで?」

「だって……スケッチしに行くのが、なんか嬉しそうに見える」


 うそ。そんな風に見えた?

 何かを見透かされそうで、内心焦った。


「そ、そんなことないよ。私、相葉君のことはただの友達としか思ってないって」

「そうなんだ。相葉君、カッコイイのに何とも思わないんだ」

「確かにカッコイイとは思うけど……好きなタイプとはまた違うんだよね、きっと。

 嬉しく見えるのは、たぶん……」


 理由を探ったら、ふと、後藤先輩の顔が浮かんだ。

 ……違う。違う違うっ!


「たったぶん、絵を描くのが好きだから!描いてる時って楽しいし、だからこう……嬉しさがにじみ出てるんだよ!ね、わかるでしょ?」


 自分の気持ちをかき消すように弁解した。


「……そういうことか。なんだ、つまんないのー」


 はぁ、焦った。

 私ってば……何を考えてるの?