もう人気者には恋をしない

 俺は必死に覚えようとした。

 見せてくれた名前の漢字も要チェック。絶対忘れてなるものか!


「須藤映見さん、須藤映見さん、須藤映見さん……

 よしっ、覚えた!」


 嬉しくて、つい声をあげてしまった。


「え?」

「俺、人の名前覚えるの苦手でさー。これぐらいしないと、すぐ忘れちゃうんだよね」


 照れ隠しに言い訳をした。


「あ、そういう事でしたか。

 呪文のように唱えだしたから、てっきり私呪われるのかと……ぷっ」


 必死になって覚えてるだけなのに、呪いって。


「ちょっと、君。
 いくら俺でも、そんなチカラ持ってないですからー」

「ですよね。あははっ」

「例え呪いをかけるとしたら、
 一体俺は何の呪いをかけるのよ、え?」

「わかりません。あはは……もう……お腹痛いです」


 あんなに笑って……

 あぁなんか……すごく、いとおしいな。