もう人気者には恋をしない

「けれども、薬草のあるところまでなかなかたどり着けず……
 女の子はすっかり自信をなくしてしまい

『ごめんねお母さん。私、もう無理だよ……』

 と言って、泣き出してしまいました」


 思わずビクッとした。

 好きだったコと一緒のセリフだったから、俺に言われたのかと思った。

 やわらいだ気持ちが、また落ちかけた。

 けど……中学生の女の子が次に読んだクマのセリフ……


「クマさんは、女の子の頭を優しくなでながら、こう言いました。

『大丈夫だよ。

 僕がついてるから。
 最後まで君を守ってあげる。

 だから、安心してついてきて』

 女の子はその言葉に、とても勇気づけられました」


 っ……………………


 聞いた瞬間……文庫本に何かが一滴ポタッと落ちた。

 雨?と思ったら違かった。

 それは……俺がいつの間にか流していた涙だった。