部屋を出るとお兄ちゃんも丁度部屋から出てきた。
「お兄ちゃん、おはよ」
「その言い方やめろよ、気持ち悪りぃ」
「ごめん」
「チッ」
西條智久
現在慶応大学2年。
昔から頭もよくて運動も得意で
人当たりの良かったお兄ちゃん。
お兄ちゃんの悪い噂なんて
ほんと聞いたことないぐらい。
でも私にはずっとあんな態度。
多分、いや絶対嫌われてる。
まぁ本当の兄妹じゃないんだし
仕方ないと言われればそれまでなんだけどね。
ガチャ
「晴、遅刻するわよ」
「晴、おはよ」
「おはようございます」
西條一樹
西條さくら
身寄りの無かった私を引き取ってくれた2人。
2人が私を施設から引き取ってくれたのが私が4歳の頃だから
かれこれ12年ぐらい経つが
今だに父には敬語のままだ。
40歳にして早くも社長の座についた
父には朝この時間しか会えない。
お母さんも夜勤が多いから
家に帰っても居ないのがほとんど。
お兄ちゃんも大学生になってから
研究室に籠るようになり家にあまり帰らなくなった。
だからいつも私が家族に会えるのは
朝食の時だけ。
だからといって淋しいとかは
あんまり思ったことはない。