キキキキキィ
ガシャーンッ
夜中のひらけた交差点に響き渡る
車と車がぶつかりあった衝撃音。
目の前に倒れている男女は
苦しそうな顔から無理矢理笑顔を作って
どこか見慣れた表情で
優しく少女を見つめている。
『晴…怪我…ない?』
そう言うと彼女の笑顔は崩れ
またさっきの苦しそうな顔になった。
『晴…お前は…生き…生きるんだ
俺…たち…はずっと…お…お前の側に
…いるから』
彼は少女に微笑みかけて
頭をちょっと強引に撫でた後
ぴくりとも動かなくなってしまった。
『……一緒にいられなくて…ごめんね』
彼の後を追うようにして彼女も
その後すぐに息を引き取った。
少女は俯いたまま。
だった。
けれどゆっくりと立ち上がり
その小さな拳に力を込めて
『…許さない』
じっと前を見据え小さくそう呟いた。