「なあ、あんた」
盾として歩かせている暴走族が話しかけてきた。
口のきき方を知らないガキだとは思ったけど、怒り出すほど器が小さいわけじゃない。
「一体誰に何を仕出かしたらこんな大事になるんだ?」
「さあね。身に覚えがなくて困っているところだよ。むしろ私が教えてもらいたいくらい」
階段に差し当たる。前を歩く男はゆっくり降りて行く。
私も男と一定の距離を開けながらそれに続く。
階段の途中でぞわっと悪寒が走った。
嫌な予感。勢いよく振り向く。
毎回思う。
悪寒が走ってくれるのはいいんだけど、遅過ぎない?
いつも既に手遅れだったりする。
……今回もそうだ。
気付いた時には既に遅くて、不安定な階段で背中を押される一歩手前だった。
つまり敵に挟まれた状態。


