運び屋の受難


暴走族達は眉をひそめ、不機嫌そうに道を開けてくれた。
とりあえずほっとする。表情には出さない。

「あ、あと君。私の前、歩いてくれないかな。下まででいいから」

ガソリン臭い彼にお願いをする。
彼は渋々といった様子で歩き始めた。

「物わかりがよくて助かったよ」

五感を研ぎ澄ませながら進む。
後ろに残した暴走族に襲って来られても困るから。

だけどその心配は杞憂だったらしく、誰かが近付いてくるような足音もなかった。