「なんでもします」
「ん?」
「なんでもします。だから命だけは、助けてください。許してください。お願いします」
死神の目を見て必死で懇願する。
プライドなんて無駄なもの、とっくの昔に捨てた。
「命乞い? 無様だなぁ」
死神は声をあげて笑った。
無様で結構。生き残れるのならそれに越したことはない。
「そこまでして死にたくないの?」
「当たり前です。このまんま死ぬ方がよっぽど惨めで無様だ」
今まで生きてきて、私に起こったことは嫌なことばかり。
幸せな思い出なんてありやしない。
それでも生きていればいつか幸せになれると信じて生きてきた。
プライドも良心も恥も、全てを犠牲にして生きてきた。
いや、犠牲にしなきゃ生き残れなかった。
そんな犠牲の上に成り立つ今の生活も、幸せからは遠い。
私の思い描く幸せに到底及ばない。
だから、まだ死ねない。
幸せになるまで、死ねない。


