運び屋の受難


「今の状況わかってる?
俺はいつでもこの女を殺せるんだよ」

遠山さんが銃口を私の頭に向けた。
さすがに頭を撃たれたら死ぬ気がするなぁ。

「お前は何を望んでんの?」

トオルさんの質問に遠山さんは考える動作をする。

「何だろうなぁ。
…トオルを俺だけのものにすることかな」

遠山さんは少しだけ、幸福そうな笑みを浮かべた。

「トオルが俺を愛してくれた日々、すごく楽しかったよ。本当はそんな日々に戻りたい」

「俺は飽きたら棄てるタイプの人間だから」

「知ってる。だけど俺、自分だけは大丈夫だって思ってたんだ。
棄てられても、もしかしたら戻ってくるかもってね」

「まさか」

トオルさんは馬鹿にするように笑った。