運び屋の受難



思い立ったら即行動。刺される前に動かないと。

掴まれていなかった右手をポケットに入れ、中にあった物を取り出した。香水のような形のそれを躊躇なく男の目に浴びせる。

「っ!」

男の手が離れた。予定通り。

男に浴びせたのは私ご用達の怪しい武器マニアが作った目潰し。今日購入しておいたのをすっかり忘れていた。

ちなみにこれは、彼の説明だと、なんかよくわからない小さな粒子が目とか口の粘膜に有害に働くらしい。

簡単に言うとこれをかけられたら涙や鼻水、咳が止まらなくなるそうな。
あと、すごく痛いくせになかなかとれないんだって。


男の様子を見る限り、あの説明は嘘じゃなかったみたいだ。
これからも使おう。


私は男から遠ざかりながらそんなことを考えていた。