運び屋の受難



「手を出さないって言ったくせに」

「仕方ないよ。人間は変わる生き物だ」

「嘘つき」

「人の言うことなんて疑ってなんぼでしょ。信じる方が馬鹿なんだよ」

恨み言を言うことしか出来なかった。当然、トオルさんは何を言われても気に留めない。

「んじゃ、二択で選ばせてあげる。
普通のセックスか、痛いやつか」

「……痛いのは嫌」

「そう答えると思ったよ。
今日は君と過ごす初めての夜になるわけだし、そこは君の望みを叶えてあげる」

普通のなら、何度も体験したことがある。その人数が一人増えるだけの話だ。大したことじゃない。

内心安堵した。