運び屋の受難




「おはよう」

閉じていた目を開くと、柔らかく微笑む青年がいた。
会いたくなかったそいつのせいで、鼓動が速くなる。


「たまたま殺し屋と会って、気に入られて。
そのせいで君は多くの人に追いかけられたし、かなり痛い思いをしたことだろう。

どうして自分がこんな目に遭わなきゃならないのかって思わないの? そしてその理不尽さに絶望しないの?

君は死にたいと思わないの?」

彼は言った。

私は返事をしようとする。
喉が渇いてうまく声を出せない。

ほとんどない唾を飲み込む。気持ち程度に、喉が潤った気がした。

「まだ、死ねない」

私は口を開いた。
彼はそう、と小さく笑った。



正直幸せなんてわからない。
だけどきっと、暖かくて優しいものなんだと思う。

一度手に入れかけたけれど、壊れてしまった。

だけどどんな過去があろうと、私が目指す場所は変わらない。



……どれだけ痛い目に遭おうと、生きている限り幸せを追い求めてみせる。