ね、寝ちゃった。


彼は目を閉じて、安心しきった顔で眠りの世界に旅立っていた。


一瞬だったなぁ。
夜更かししてるのかな。


起こすのも悪いし、目を閉じている龍也君を見ていた。


起きない……よね?

私はドキドキしながら、おそるおそる彼の髪を撫でる。


繋いだもう片方の手から、とくとくと彼の鼓動が伝わってくる。


龍也君と初めて手をつないだ時、嬉しかった。
暖かくて、大きくてやさしい手に、すごく安心した。


金色の髪がさらりと揺れる。


龍也くんは私が大嫌いなのに、どうしてこんな風に付き合ってるふりをするんだろう。


考えると同時に、星乃先輩の横顔を思い出す。



――決まってる。

全部星乃先輩を守るためだ。



彼女を守るために、龍也君はきちんと罰を受けて。

その結果、私を傷つけることを選んだ。


考えると、胸がぎしぎしと痛んだ。


痛い。


彼の近くにいる時間が長ければ、長いほど。


どんどん心が痛くなっていく。