まだ時間があったので、自販機でジュースを買ってもらった。
「ほら、レモンティーやる」
「ありがとうございます」
ストローをさして、ちゅーっとそれを飲みつつ質問する。
「そういえばさっきの人、お友達なんですか?」
優しそうだけど、ちょっと日本語の通じない感じの彼の顔を思い浮かべる。
「あぁ、透(トオル)か。
軽いしろくでもねーけどそんな悪いやつでもない。まぁいいやつでもないけどな」
複雑な間柄らしい。
「仲良さそうだったね」
「おう、ほどほどに」
そんな話をしているとちょうど予鈴がなったので、私は教室に帰ろうとする。
「じゃあ、これで。ジュースありがとう」
「おう。なぁ、ひな」
立ち去ろうとすると腕をぐっと引っ張られ、どきっとする。
龍也君は背が高い。
引き寄せられると、胸あたりに私の顔が当たる。
「ひな」
「は、はい」
彼の瞳が、じーっとこっちを見ていて。
また顔がぼっと赤く染まる。
「あのさ」

