「勉強勉強言われんのがうざくなってさ。
俺がわざと中学の受験に落ちてから、すっかり興味がなくなったみたいだ。
教師なんてゴミみてーと思ってた。
それ以来どんな教師もなんかむかついて、好きじゃなくて」
そう言ってそっぽを向いている龍也君の顔は、少しさみしそうだ。
「クラスに来る教師には嫌がらせして、わざと授業荒らしたりもしてた。
今はくだらねーことしたなと思うよ」
「……そっか」
龍也君の気持ち、分かる気がする。
きっと、寂しかったんだよね。
「だからってお前までばかにする必要ないよな。
お前がそんな教師になんなきゃいいだけだもんな」
「そんな理由があったんだね」
彼が先生をくだらないと言った理由が分かってほっとする。
私を傷つけたかったわけじゃない。
ただ、そう言ってしまいたくなる理由があったんだ。
龍也君はこちらを伺うように覗きこむ。
「つまんねーと思っただろ?」
「ううん、話してくれて嬉しい。言ってくれないと、お互い分からないもんね」
膝を組んでこちらを向き、鋭い目を細めて言った。
「お前、今からそんなこと考えててすげーな。まだ一年なのに」
「ずっと目標だったので」
「……なんか、ちょっとうらやましい」
「龍也君はなりたいもの、ないの?」
彼は照れくさそうにぽりぽりと頭をかく。
「俺なんかなー。目標とか何もないし」
「これから見つければいいと思うよ」
「でもどうせ俺、無理だよ」
「どうして?」
「何やっても中途半端だし、親からは見捨てられてるから」
諦めたように言うのを聞いて、思わず叫んでしまった。

