それから何日か後、星乃先輩にも声をかけられた。



人通りの少ない、渡り廊下。
通りすぎていく他の人とはやっぱり違う。
前と同じように、星乃先輩はこちらを見つめて立っていた。


その姿に胸がどきりとする。
きらきらした、長い髪の毛。
すらりとした身体に誰が見ても美人だと思える姿はやっぱり私の憧れだ。



彼女はやわらかく微笑み、私に手を振る。


星乃先輩。

なんだか、すごく晴れやかな表情だ。
まるで、今まで自分を縛っていた重い殻を脱ぎ捨てて、飛び立っていく蝶みたいに。


「うまくいったみたいだね」

相変わらず話すのがうまくない私は、もごもごと返事をすることしか出来ない。


「自分のままでいられる人の側にいるのが、一番いいのかもしれないね」


私は彼女にずっと言わないといけないと思っていたことを打ち明けた。

「ごめんなさい」

「え?」