「はは、照れちゃってかわいいなぁ陽にゃん」


誰が陽にゃんだ!


「おい、ふざけんな」


龍也君が怒ろうとした途端、透さんは冷たい声で彼のことを振り払う。

「龍也には関係ないじゃん?」

「……っ」

「龍也こそ、陽菜ちゃんの何なわけ?」

「何って」


透さんの真剣な顔って、初めて見たかもしれない。

ぞっとするくらい冷たい表情で、静かに龍也君のことを睨みつけた。


「そうやってはっきりしない態度とってるくせにおいしいとこどりするの、ずるいと思わん?」


龍也君は悔しそうに唇を噛み締める。


「さ、ヤンキーの人はほっといて、遊びに行こう!」


いつも通りまたへらへらした顔に戻り、私は透さんに連れていかれてしまった。



結局学校を出てからも、なぜか流れで透さんと一緒に歩いている。


「ああいうこと言うのやめてください! 誤解されたらどうするんですか!」


「いいじゃん、別に。あいつは有華さんと付き合ってるんだし。
何が問題なの?」

「それは……」



歩道の途中で足を止め、透さんは嬉しそうに笑う。


「だいたい陽菜ちゃん、勝ち目があると思ってるの?」