「陽菜ちゃんやっほー!」

翌日の昼休み、私とえみが食堂に行こうとしていると、軽そうな人が手を振っているのが見えた。


こちらから会いに行くつもりはまったくなかった。
のに、透さんは自分からやってきた。


「これから食堂に行くので」

「陽菜ちゃんお昼? 俺も俺も。じゃあ一緒に食べていい?」


「私はっ……!」

いいなんて一言も言ってないのに、結局食堂まで着いてきた。


「俺何にしよっかなー。あ、チキンカツうまそう」


完全に一緒に食べる気らしい。
この人のメンタル、鋼が何かで出来てるのかな。
ある意味うらやましい。


食堂の列に並びつつ、えみは用心するようにじろじろと彼を観察している。


「何このチャラい人」

「透さん。龍也君の友達。
見たまんま、ただのチャラい人だよ」


そう説明すると透さんは不満そうに息をつく。


「ひどいなぁ、もうちょっと優しくしてくれてもいいのに」


そう言って、彼はつぅっと私の背中を指でなぞった。


「きゃああああああああああっ!」


ばっと彼の手を払いのけ、彼に向かって吠える。


「い、いつもいつも背中をなぞるのやめてください! ぞわってするんで!」

「だって陽菜ちゃんが冷たいから。俺も傷つくんだよ?」