俺はもうこれ以上、ごたごたしたことにひなを巻き込みたくないと思っていた。


試験の日、思わず言ってしまいそうになったけれど、俺はもうひなとかかわらないつもりだった。



だって、言えるわけがない。



あれだけ傷つけて、振り回して。



今更好きだなんて、言えるわけがない。



だけど有華はそれじゃ納得しなかった。


「じゃないとあたし、諦められない」


俺の腕を握り、はっきりした口調で説得する。


「いいじゃん。あたしと別れたいんだったら、それくらいしてくれないと納得出来ない」


彼女はその条件だけは絶対に譲る気はないようだった。



「……分かった。でも、すぐには無理だから」


結局それに折れ、ひなに自分の気持ちを伝えることを約束させられた。
有華は悲しそうな顔で俺を睨み、部屋を出て行った。