泣いている彼女を見て、本当に申し訳ないと思った。

俺がずっとはっきりしないから、有華を振り回してしまった。



「有華、俺達もう無理だよ。
一緒にいても、悲しいことしか思い出さない。
有華だって、そうじゃないのか?」


彼女は唇をかんで、何も答えない。


思い出の中の二人が、いつも楽しそうで。

現実の俺を、何度も苦しめる。

何度あの時のようにしようとしても、元通りにはならないから。



「本当に俺のこと好きじゃないのは、有華も同じじゃないのか?
哲真さんと別れたから、意地はってるだけで」


「そんなことないっ!」

「こんなんなってまで付き合う必要、あるか?」



彼女の手が、カタカタと震える。



俺の気持ちが変わらないのが分かったのか、有華は静かに頷いた。


「分かった、じゃあ別れてもいいよ」


その言葉に安心して、小さく息がもれる。
けれど有華の瞳には、何か決意のような物がはっきり浮かんでいた。


「ただし、あの子にちゃんと好きだって言って。
それでふられたら、またあたしと付き合って」

「そんなこと出来るわけないだろ!」