俺は本を閉じ、有華に向き合う。
有華は嬉しそうに俺の首に抱きついてくる。
「勉強、もうやめるの?」
そう言って彼女は俺の唇にキスを落とし、首筋に触れてくる。
「せっかく一緒にいるんだし、もっと楽しいことしようよ」
きれいに笑って、俺のことを床に押し倒す。
「……有華」
顔のすぐ真上で、彼女の長いまつげが瞬く。
前だったら、嬉しかったのに。
有華のすべてが憧れだった。
彼女に触れたくて、いつも焦っていた。
今は違和感しかない。
有華に触れられる度、キスされる度。
やっぱり何かが違って、その度残念な気持ちになる。
彼女の期待した瞳を見ると、申し訳なくてたまらなかった。
「別れよう」

